フィリピンでオンライン日本語講師 2023 その5 日本語は難しいという話

フィリピンのイロイロにある田舎町、サンタバーバラにてオンライン日本語講師をしながらMushin Japanese Cafeを経営して暮らしているTakaです。

今回はめずらしく純粋な日本語の話。

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日本人でもわからんでしょ、こんなのというレベル

私が教えている生徒の一人にアメリカ人の60歳手前の女性がおり、かれこれ2年くらい私と勉強を続けております。

彼女は現在、日本語検定試験で一番何度の高いN1というレベル取得を目指しており、普段はアメリカで自身が経営するクリニックで鍼灸師として働いています。

先日、こんな問題がありました。

問題:誰もがこのイベントに( )配慮がなされている。
(A)参加できるべく
(B)参加できんがため
(C)参加できるように

・・・これ、答えはCなんですが、皆さんはすぐにわかったでしょうか。

感覚的にBは堅苦しくて、Aも堅苦しくて、Cが自然な感じ、だからと思う人もいるかもしれません。

ですが、明確な違いがあります。

まず、選択肢を見てみると、

(A)参加できるべく

これに関しては「べく」は「~するために何かをする」と訳するとわかりやすいかもしれません。

意志動詞+べく として使います。

健康になるべく…健康になるために

発表するべく…発表するために

こんな感じです。

じゃあ、次の(B)

(B)参加できんがため
はどうでしょうか。

これを使うときは、もっと何か重大な目的を達成するため、何かをする、という意味で使われます。

これも意志動詞+んがため としてつかいます。

人は生きんがため、動物の命が必要なのだ。

アフリカの飢餓を減らさんがため、栽培しやすい野菜を開発した。

全体的に堅苦しい感じですよね。

そして(C)です。

(C)参加できるように
これはどうでしょうか。

これは日本人なら説明いらないですよね。

英語なら、 in order to とか、 so that…みたいな感じかな。

じゃ、次に質問文を見てみます。

誰もがこのイベントに( )配慮がなされている。

この文章のポイントは後半部分の、配慮がなされている、です。

配慮をしているではなく、 配慮がなされているです。

配慮をしている、と、配慮がなされているの違いを考えてみましょう。

配慮をしている…他動詞(transitive verb)です。

私が配慮をしている、のように、配慮する人が必要です。

そしたら配慮がなされている、これはどうでしょうか。

配慮がなされている…自動詞(intransitive verb)です。

教室に涼しい空気が入るように、配慮がなされている、のように状況の説明ですよね。

そこで、もう一度問題と選択肢を見てみます。

問題:誰もがこのイベントに( )配慮がなされている。
(A)参加できるべく
(B)参加できんがため
(C)参加できるように
(A)と(B)は目的のために、誰かが何かをする という文章になります。

(A)私はイベントに参加できるべく、(私は)配慮をおこなった。

(B)私はイベントに興味のある者たち全員が参加できんがため、(私は)最大限の配慮をおこなった

これならOKですね。

けど、問題文は「配慮がなされている」です。

(A)(B)を使えるのは、話をした通り、主語が人の時だけですね。

なので答えは(C)参加できるようにとなります。

一部の生徒は本当にあたまがいい

こんな感じのやり取りを毎回彼女としているわけです。

しかも状況に応じて英語での説明しないといけなかったりします。

特に難しい単語に関しては「これどんな意味ですか?」と聞かれたときに、即答できることで生徒からの信頼アップにもつながります。

それにしてもよくこんな難解な問題の答えがわかるなぁ、といつも本当に驚かされます。

特に彼女は頭が非常によく、このレベルの問題を80パーセント以上正解するんです。

すごい。

生徒はプラットフォームに現在34ドル支払い、私の日本語を受けていますが、このレベルの問題になると、外国人に指導できる日本人もごく少数になるようです。

職を失わないように、ほかの日本語講師たちに負けないようにスキルを磨かないと。

という思いから、私はほとんどブログに日本語の指導の仕方やスキルアップにつながる投稿をしていません。

ごはんを食べられなくなる可能性が高くなることはリスクが高いので。

私は論理的な話が好きなこともあるし、生徒さんたちからのニーズがあるから論理的な指導をしています。

ですが、個人的にはよくこんな難解な言語を勉強するなぁ、と本当に感心しています。

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