フィリピンで日本語を学ぶ人たちと、見えてきた現実

フィリピン生活

フィリピン・イロイロ州サンタバーバラで、たこ焼きやラーメン、餃子を販売しながら暮らしているTakaです。

コロナ禍が長引く中、町の様子も少しずつ変わってきました。

最近は物乞いを見かける機会が以前より増え、「生活が苦しくなった人が増えているんだな」と感じる場面が多くなっています。

お金を使う場所が変わった

ロックダウンが解除された直後は、久しぶりに外へ出られる喜びから、友達と食事をしたりカフェに行ったりする人を多く見かけました。

ですが、その雰囲気は長くは続きませんでした。

今は外出する人自体が減り、外へ出ても目的はマーケットで生活必需品を買うことが中心です。

飲食店で食事を楽しむ余裕がある人は、以前よりかなり少なくなった印象があります。

トライシクルの運転手さんも、お客さんを探して町を何度も走り回っていますが、なかなか乗客が見つからない様子です。

私のお店の売上だけでなく、町全体の空気からも景気の厳しさを感じます。

当時の調査でも、多くの世帯が十分な食事を確保できない状況にあることが報告されていました。

私が住む地域でも、その影響を実際に肌で感じています。

日本語を学びたいフィリピン人が増えている理由

そんな状況の中、日本語を勉強したいという相談を受けることが増えてきました。

理由はとてもシンプルです。

日本で働きたいから。

以前はエンターテイナーとして来日するケースも多くありましたが、現在は一般企業で働くルートが主流になっています。

そのためには、日本語能力試験(JLPT)のN4程度の実力が求められます。

ひらがな・カタカナはもちろん、小学校レベルの漢字や基本的な文法、日常会話まで理解している必要があるため、決して簡単な試験ではありません。

それでも、日本で働けばフィリピンより高い収入を得られる可能性があります。

家族を支えたいという思いが、彼らの学習意欲につながっています。

日本語教育は大きく稼げる仕事ではない

一方で、フィリピン人向けの日本語教育だけで大きな利益を出すのは難しいとも感じています。

受講料を高く設定すると通えなくなりますし、安く設定すると講師側の収入が限られてしまいます。

私が考える現実的な料金は、

  • グループレッスン(4人)なら1人150ペソ程度
  • マンツーマンなら1時間200ペソ程度

このくらいが上限ではないでしょうか。

もちろん、日本人や欧米の学習者を対象にオンラインで教える方が、収入面ではずっと有利です。

今回は収益だけでなく、自分自身の経験を積むことも目的だったので、フィリピン人への日本語指導を始めてみました。

今回の生徒たち

今回集まってくれたのは5人です。

Aさん(22歳・男性)

大学卒業。

英語が流暢で社交的。

Bさん(35歳・男性)

高校卒業。

チキンショップで働く女性の旦那さん。

英語はあまり得意ではありませんが、人柄はとても良い方です。

C・D・Eさん(20代・女性)

全員大学卒業。

英語も流暢で、日本語を少し勉強した経験があります。

Fさん(22歳)

大学生。

英語が堪能で、日本語もかなり上手。

アニメ好きです。

グループ分けは、

  • A・Bさん
  • C・D・Eさん
  • Fさん(マンツーマン)

という形で授業を行いました。

学習経験の差は意外と大きかった

最初の授業では、

「これは机です。」

「これは椅子ではありません。」

という、とても基本的な内容から始めました。

初めて日本語に触れるAさんは、素直に吸収していきます。

一方で、「少し勉強したことがある」と話していたBさんは、思った以上に苦戦していました。

知識があるというより、断片的に覚えている状態だったため、新しい内容とうまく結び付けられなかったようです。

教える側としても、とても勉強になりました。

続けるためには、お金も必要

授業料は100ペソに設定しました。

ところが、Bさんは当日になって100ペソを払えないと言います。

せっかく最初の授業なので、

「今回は無料でいいですよ。一緒に勉強しましょう。」

と伝えました。

他の生徒さんは授業料を支払い、その後お店でアイスティーやたこ焼きまで注文してくれました。

Bさんだけは、それができませんでした。

本人のやる気とは別に、経済的な事情が学ぶ機会そのものを左右してしまう。

そんな現実を目の当たりにしました。

人は似た環境の人と集まりやすい

今回感じたのは、人は自然と似たような環境の人同士で集まる傾向があるということです。

経済的な余裕がある人は、学ぶことにも投資できます。

余裕がない人は、学びたい気持ちがあっても、そこへ踏み出すこと自体が難しくなります。

もちろん例外はありますが、その差は決して小さくありません。

フィリピンでは「差別は少ない」と言われることもあります。

確かに日常生活の中ではそう感じる場面も多いです。

ただ、生活する場所や買い物をする店、付き合う人たちが自然と分かれているため、お互いに接点が少なく、見えにくくなっている側面もあるのではないか、と私は感じています。

外国人である私は、比較的いろいろな層の人と関わる機会があります。

だからこそ、旅行だけでは見えないフィリピン社会の姿を知ることができました。

大変なことも多いですが、それも含めてフィリピンでの暮らしは毎日新しい発見があります。

だからこそ、この国での生活は本当に面白いと思っています。

 

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