フィリピンは子供が多い国です。外を歩けば簡単に小さな子たちが無邪気に遊ぶ姿を見ることができます。
日本から来た人たちはみなさん口を揃えておっしゃります。
「Takaさん、フィリピンって子供がとっても多いですね!!」
その通り。フィリピンは子供が多い国です。
日本では子供が少なくて嘆いているので正反対ですね。
じゃぁ、どうして子供が多いのでしょうか。そこには簡単にはまとめることができない事情が複雑に絡まりあっているのです。経済、宗教、これを抜きにして語ることはできません。
今回はその点に触れながらお話をしていきたいと思います。
Contents
経済的な理由によるフィリピンの人口増加
子供は貴重な労働力
私が以前病院にいたときに聞いた話題です。
一人のおじさんとその友人が話していました。彼らはタガログ語と英語をミックスしていたので私は100パーセントを理解していたわけではありませんが、こんな話をしていました。
「子供が4人いて、みんなそろそろ成人して働きだすだろう。一人毎月1000ペソ送ってくるとして、毎月何もしないでも4000ペソの収入が手に入る。」
「だから仕事をしないでも暮らしていける」
こんな感じの話でした。
戦後の日本と同じように、子供は労働力でお金を両親に渡すものだという思想がそこにはあるわけです。
もちろん、大人だけがそう思っているわけではありません。
子供視点でも、私のことを一生懸命に育ててくれた両親には恩返しがしたい。両親が年を取ってから苦しむ姿は見たくないし、見せたくもない、というような思想も珍しくはありません。
従って、将来の安泰のために子供を意図的にたくさん作ろうとするフィリピン人の人も多くいます。
彼らにとって子供を作ることは未来への投資なのです。
日本では子供を作ることは今ではリスクと考える人のほうが多いかもしれませんね。
子供一人持つと成人するまでにどれくらいのお金が必要かを示した表を以前見たことがあります。子供のことすらビジネスライクに考えてしまうのはちょっと不幸かもしれませんね。
子供が大きくなった時に両親にお金を支払うということに関しては、私のインタビュー動画でも紹介をしています。
もしよかったら見ていただけたら幸いです。
避妊具を買うなら食事を買う
フィリピンでもピルやコンドームなどの避妊具を買うことは可能です。
ひと月分、服薬するピルは500ペソ程度で購入できます。
500ペソ…日本円にしたら1050円程度のお金ですが、この金額はフィリピンでは決して安いお金ではありません。
日本でいうところのイオンにあたるようなSMというショッピングモールで働く人たちのお給料は一日8時間働いて350ペソ程度。つまり役1.5日分のお給料で購入することができることになります。
また、もちろん、この金額は正規の仕事に就業することができた人たちのお給料です。
ジプニーやトライシクルなど非正規労働者の給料はもっともっと安いです。
彼らにとっては避妊具を買うことよりも、その日その日の食事を食べる事の方が優先度が高くなります。
その結果、避妊に対する意識が低くなり、子供が生まれるということになるのです。
宗教的な理由によるフィリピンの人口増加
フィリピンは敬虔なカトリックの国なので、基本的に中絶は禁止されています。
中絶を禁止している所か避妊すら好まない実体がそこにはあります。
そのため人々は子供を妊娠した時に基本的に「産む」選択肢しかありません。中絶することは殺人に等しく、刑務所に行くことを覚悟することになるのです。
未成年による妊娠であろうが、レイプされた上に妊娠したということであっても、産むという選択肢しか女性にはないのです。
もちろん中には中絶を望む女性もいますが、違法であることから安心安全といった面ではリスクが非常に高くなる行為です。
闇ルートで中絶薬を購入し、一人で誰にも気づかれないような環境で服用することが一般的なようです。
私は一人だけフィリピンでかつて中絶をした経験のある女性と話したことがありますが、親にも友達にも相談できない状況で中絶役を服用し、何度も嘔吐し、かなりの出血を伴ったということを聞きました。
従って子供を妊娠した時には産むことが基本となるのです。
フィリピン政府の人口増加に対する考えは
有名なフィリピンの大統領、ドゥテルテ大統領はこのことについてどう思っているのでしょうか。
実はフィリピンの大統領は人口増加に対して賛成はしておりません。なんとかして人口をコントロールしようと思っています。
そのため政府としては、積極的に避妊具を着用して性行為をすることや、ピルの服用などを推奨しているのですけれども協会側がそれに対して強く反発しているのです。
そのため、いつも政府側の人間対、協会側の人間という形でフィリピンでは衝突が起こっています。
ちなみにフィリピンの教会は日本の宗教施設と同じように、税金に対する優遇措置があります。
そのため教会で働く人なのに高級な食事を食べたり、高級車を乗り回していたり、大きな住宅に住んでいるということが珍しくもありません。
教会では貧しい人たちを助けるために募金をお願いするような場面に、たくさん出くわすことができます。
教会で乞食行為をする本当に貧しい人たちを無視してた教会のシスターが、別の日に高級車で日本食レストランでお寿司を食べているのを見たときは複雑な気分でした。
しかしながらそれがフィリピンという国なのです。もちろん日本とは違うシステムですよね。