フィリピンのカフェ経営で感じた「仕事のミス」より大切なこと|スタッフとの信頼関係

Taka
Taka
昨日、お店のエアコン、消さないで帰ったでしょう?
それ、私のせいじゃないです
モブ女
モブ女
Taka
Taka
え? でも、最後に帰ったのはあなたでしょう?
お客さんが帰らなかったんです。だから私は消せなかったんです。
モブ女
モブ女
Taka
Taka
……いや、お客さんが帰らなかったら、エアコンを消せないの?

これは、フィリピンのイロイロで小さなカフェを経営している私が、実際にスタッフと交わした会話です。

私はパートナーと一緒に、フィリピンのイロイロで「Mushin Japanese Cafe」という日本食カフェを経営しています。

海外で飲食店を経営していると、当然ですが、スタッフのミスは日常的に起こります。

エアコンを消し忘れる。

食器を割る。

料理を間違える。

掃除を忘れる。

私は、スタッフがミスをすること自体は、そこまで気にしていません。

人間ですから、誰でも間違えます。

私が大切だと思っているのは、ミスをした後にどう対応するかです。

ところが、今回のスタッフには、仕事のミスとは別に、私がどうしても気になる部分がありました。

それが、何か問題が起きても、ほとんど自分のミスを認めないことでした。

最初は、本当にいいスタッフに見えた

このスタッフを採用したとき、私はかなり好印象を持っていました。

面接では、私の質問にも一生懸命英語で答えてくれました。

受け答えも悪くありません。

「この子なら大丈夫そうだな」

そう思って採用しました。

実際、最初はよく働いていました。

料理もする。

掃除もする。

お客さんのオーダーもしっかり取る。

仕事をサボっているわけでもありません。

だからこそ、私は多少の問題があっても、しばらく様子を見ることにしました。

ところが、一緒に働く時間が長くなるにつれて、少しずつ「あれ?」と思うことが増えてきました。

そして、私が最初に気になったのが、彼女がなかなか謝らないことでした。

スタッフのミスより「謝らないこと」が気になった

私は、スタッフが仕事でミスをすること自体は、あまり問題だと思っていません。

「すみません。次から気をつけます」

これだけで十分だと思っています。

ところが彼女は、何か問題が起きると、まず謝るのではなく、理由を説明することが多かったんです。

「私は悪くない」

「こういう事情があった」

「他のスタッフがこう言った」

「私はこうするつもりだった」

とにかく、自分のミスを認めようとしません。

最初は私も、

「まあ、こういうタイプの人もいるのかな」

くらいに考えていました。

でも、後から振り返ると、これが彼女との仕事で大きな問題になっていきました。

買ったばかりのフライパンのテフロンが剥がれた

ある日のことです。

私はキッチンに行って、フライパンを見ました。

「このフライパン、テフロンが剥がれてる。昨日買ったばかりなのに。」

彼女に聞きました。

「昨日、このフライパン洗った?」

「……」

「さっき、あなた洗い物してたよね?」

「してません。」

「いや、見てたよ。スチールのたわし使ってたじゃん。」

「いや、使ってません。」

私は、彼女が実際にフライパンを洗っているところを見ていました。

朝の段階ではフライパンはきれいでした。

ところが今は、テフロンが剥がれている。

彼女が洗い物をしていた。

そして、スチールのたわしは濡れている。

私の中では、かなり状況が揃っていました。

それでも本人は、

「やってません。」

それで終わりです。

私はこのとき、フライパンそのものよりも、むしろその対応のほうが気になりました

ミスをしたことなら、別にいいんです。

謝れば、それで終わる話です。

「すみません。知らずにスチールたわしを使ってしまいました。」

それなら、

「次からは普通のスポンジを使ってね。」

で終わります。

ところが、

「やってません。」

と言われてしまうと、話が進みません。

「いや、あなたがやったところを見ましたよ」

と言っても、

「やってません。」

では、こちらは何をすればいいのでしょう。

証拠を集めて裁判でもするのか、という話になってしまいます。

もしかしたら、買ったばかりのフライパンなので、弁償させられると思ったのかもしれません。

だから、必死に自分を守ろうとした可能性もあります。

私はこの時点では、まだ彼女を辞めさせようとは思っていませんでした。

時間が経てば、少しずつ変わるかもしれない。

そう考えていたんです。

「生活費が足りない」と借りたお金を他のスタッフに使った

仕事上のミスや言い訳とは別に、私にはどうしても理解できない出来事もありました。

あるとき、彼女から、

「生活費が足りないので、お金を貸してほしい」

と相談されました。

私は、本当に困っているんだと思いました。

そこで、お金を貸しました。

ところが後になって、そのお金を何に使ったのか知ることになりました。

なんと、そのお金で他のスタッフに食べ物をご馳走していたんです。

……え?

私は、一瞬、理解が追いつきませんでした。

だって、

「生活費が足りないから、お金を貸してください」

と言って借りたお金です。

それなのに、そのお金で他の人にご馳走する。

「いや、そこは自分の生活に使うお金じゃないの?」

私はそう思ってしまいました。

もちろん、彼女には彼女なりの考えがあったのかもしれません。

もしかしたら、他のスタッフにいいところを見せたかったのかもしれない。

「私はみんなにご馳走できる人間だ」と思われたかったのかもしれません。

でも、私にはその感覚がどうしても理解できませんでした。

困っているからお金を借りる。

そのお金を貸してくれた人がいる。

だったら、まず自分の生活を立て直すために使う。

少なくとも私は、そう考えます。

この頃から私は、彼女の仕事ぶりだけではなく、

「この人は、そもそも物事をどう考えているんだろう?」

と少しずつ気になるようになりました。

フィリピンのカフェでエアコンを一晩つけっぱなしにした

そして、ある日。

いつも通り店を開けると、何かがおかしい。

エアコンがついていました。

しかも、一晩中つきっぱなしだったんです。

前日の夜、私は先に店を上がっていました。

残った2人のスタッフが店を閉めるという流れでした。

次の日、私がお店に来て確認すると、エアコンが消されていませんでした。

フィリピンでは電気代も決して安くありません。

小さなカフェを経営している私にとって、エアコンのつけっぱなしは、そのまま店舗の経費に影響します。

私はすぐに写真を撮って、2人のスタッフにメッセージを送りました。

すると、1人のスタッフからはすぐに返事が来ました。

「本当に申し訳ありません。昨日、エアコンを消すのを忘れてしまいました。私の責任なので、一晩つけっぱなしだった分の電気代を支払います。申し訳ありませんでした。」

私は、

「まあ、こういうこともあるよな」

と思いました。

むしろ、その対応を見て安心しました。

ミスをした。

自分で認めた。

謝った。

そして、同じミスをしないようにしようとしている。

これなら問題ありません。

ところが、もう一人のスタッフからは、いつまで経っても返事がありませんでした。

そこで、彼女がお店に来たときに直接話をすることにしました。

そして、私は聞きました。

「昨日、お店のエアコン、消さないで帰ったでしょう?」

すると、返ってきた答えは、私が予想していたものとは全く違いました。

「お客さんが帰らなかったから、エアコンを消せなかった」

「昨日、メッセージ送ったけど、返事なかったよね?」

「エアコンのことですか?」

「あれ、私のせいじゃないんですよ。」

「……どういう意味?」

「昨日、夜遅くになってもお客さんが帰らなかったんですよ。」

「それで?」

「私はエアコンを消したかったんです。でも、お客さんが帰らなかったから、エアコンを消せなかったんです。」

「でも、お店の片付けをしたのは、あなたともう一人のスタッフだよね?」

「はい、そうです。」

「じゃあ、お客さんが帰ったあとにエアコンを消せるよね?」

「消したかったんですけど、他にもすることがあったから、消せなかったんです。」

「お店を閉める前に、最後に確認しなかったの?」

「だって、私、疲れてたんですもん。」

そして最後に、

「私、悪くないです。」

と言いました。

私は、この会話をしたとき、今まで我慢していた何かが切れたような感覚がありました。

スタッフの仕事で一番大切なのは「ミスをしないこと」ではない

別に、私は彼女のことが嫌いだったわけではありません。

仕事をサボっていたわけでもありません。

一生懸命働いていた時期もありました。

だからこそ、私もずっと我慢していました。

でも、仕事というのは、結局、人と人との信頼関係で成り立っています。

特に小さな飲食店では、スタッフ同士が協力しなければ仕事が回りません。

何か問題が起きたときに、

「私じゃありません。」

「私は悪くありません。」

「こういう理由があったんです。」

と毎回言われてしまうと、少しずつ信頼関係が壊れていきます。

そして、何か問題が起きるたびに、

「またこの話になるのかな」

と思うようになってしまいます。

そうなると、一緒に仕事をすること自体がストレスになってきます。

私は、彼女だけの判断で決めたくありませんでした。

そこで、他のスタッフにも、彼女についてどう思っているのか聞いてみました。

もちろん、私が一方的に判断している可能性もあると思ったからです。

そして話を聞いてみると……。

少し安心しました。

彼女について、私と似たような印象を持っているスタッフがいたんです。

「ああ、やっぱり私だけがそう感じていたわけじゃなかったんだ。」

そのとき、そう思いました。

そして私は、彼女にお店を辞めてもらうことにしました。

ミスをしたスタッフと、言い訳をするスタッフ

今回の出来事で、私が改めて感じたことがあります。

私は、スタッフに「絶対にミスをするな」とは思っていません。

今回、エアコンを一晩つけっぱなしにしてしまったスタッフも、ミスをしました。

でも、そのスタッフはすぐに、

「自分のミスです。申し訳ありません。」

と認めました。

そして、お店に来てからも直接私に謝ってくれました。

正直、私はその対応は100点満点だと思いました。

そして、

「このスタッフなら、同じミスを何度も繰り返すことはないだろう」

と思いました。

実際、その後、彼女は同じミスをすることはありませんでした。

それどころか、一生懸命仕事を続け、少しずつ仕事を覚えていきました。

最終的には、私にとって、とても頼りになるスタッフに成長してくれました。

この経験から、私はスタッフを採用するときに見るべきポイントが少し変わりました。

大切なのは、ミスをしない人ではありません。

ミスをしたときに、

「自分のミスです」

と認められる人。

そして、

「次はどうすれば同じことを繰り返さないか」

を考えられる人。

私は、それがスタッフにとって非常に大切なことだと思っています。

海外で飲食店を経営して分かったこと

フィリピンのイロイロでカフェを経営していると、日本とは違う仕事の難しさを感じることがあります。

もちろん、これはフィリピン人スタッフ全体の話ではありません。

実際、私の店にも、ミスをしたら素直に謝って、そこから仕事を覚えていったスタッフがいます。

むしろ、そういうスタッフとは一緒に仕事をしていて非常に安心できます。

結局、人間関係も仕事も、長く続けるためには信頼が必要なのだと思います。

ミスは誰にでもあります。

問題なのは、ミスをしたことではなく、その後どうするか。

謝る。

認める。

改善する。

そして、次は同じことを繰り返さない。

それができれば、一度のミスで失った信頼を取り戻すこともできます。

一方で、言い訳を繰り返していると、自分自身で少しずつ評価を下げてしまいます。

今回のスタッフも、エアコンの件だけが問題だったわけではありません。

普段の仕事でも、少しずつ信頼を損ねるような行動や発言を繰り返していました。

本当は、もっと早く辞めてもらった方がよかったのかもしれません。

でも、彼女も経済的に苦労していました。

できれば仕事を続けながら、少しずつ改善してもらえればと思っていました。

残念ながら、最後まで改善されることはありませんでした。

海外で小さな店を経営していると、売上や仕入れ、家賃、電気代など、考えなければならないことがたくさんあります。

その中でも、最も難しいのは、もしかすると「人」なのかもしれません。

そして今回の経験から、私は改めて、

「仕事ができる人」と「一緒に仕事をしたい人」は、必ずしも同じではない。

そう感じました。

 

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました