フィリピンで小さな店を経営する難しさ|優秀なスタッフが妊娠して退職した話

フィリピンでビジネス|スタッフ管理

また、スタッフが一人辞めました。

フィリピンのサンタバーバラで小さな店を経営している私にとって、スタッフが一人退職するというのは、思っている以上に大きな出来事です。

お金はない。人もいなくなった。

なのに、スタッフを採用するための時間と、新しい人に仕事を教えるための労力だけは増えていきます。

小さな店を経営していると、スタッフが一人辞めるたびに、また新しい人を探して、面接をして、採用して、仕事を一から教えなければなりません。

しかも大変なのは、採用した本人だけではありません。

新人を教えるために、私自身の時間も使いますし、残ったスタッフの時間も使います。

私の経験では、新しく入ったスタッフがある程度戦力になるまで、半年くらいかかることもあります。

つまり、一人辞めただけなのに、また半年かけてゼロからやり直すことになります。

そして今回退職したスタッフは、かなり仕事のできる人でした。

なぜ優秀なスタッフが退職することになったのか

では、なぜ彼女が退職することになったのか。

理由は妊娠です。

もちろん、これは仕方のないことです。

私の店では、スタッフ全員にかなり幅広い仕事をしてもらっています。

注文を取る。

料理を作る。

洗い物をする。

掃除をする。

基本的には、一人ひとりが何でもできるようになってもらいます。

しかも、単純に体を動かしていればいい仕事ではありません。

次に何をするべきなのか段取りを考えたり、他のスタッフとコミュニケーションを取ったり、お客さんの状況を見ながら動いたりする必要があります。

つまり、頭も使うし、体も使う。

小さな飲食店の仕事ですが、実際にはかなり大変です。

だから私が、

「じゃあ、店の中で赤ちゃんを育てながら、今までと同じように働いてください」

「赤ちゃんが店で泣くのは禁止です。仕事中に赤ちゃんをあやすのも禁止です」

なんて言えるわけがありません。

そんなこと、現実的に考えてあり得ませんよね。

だから、出産を控えた彼女に「仕事を続けてくれ」と私から言うことはできません。

もちろん、経営者としては残念です。

せっかく仕事のできるスタッフだったからです。

でも、彼女には彼女の人生があります。

これからお母さんになって、新しい人生を歩いていく。

それは私の店より100倍大事です。

だから、いつまでも「スタッフが辞めて困った、困った」と言っているわけにもいきません。

正直、辞めてほしかったスタッフが妊娠したらホッとすることもある

ここからは少し変な話です。

以前、あまりにも店や他のスタッフに迷惑をかけるスタッフがいたことがありました。

正直、

「この人、どうやって辞めてもらおうかな」

と思っていたくらいです。

ところが、こういうスタッフに限って、なかなか辞めないんですよね。

そこで、もしそういうスタッフが妊娠したらどう思うか。

経営者としては、正直、少しホッとしてしまうと思います。

「ああ、これなら仕方ない。退職する理由ができたな」

と思ってしまうでしょう。

もちろん、妊娠そのものを喜んでいるわけではありません。

私が言いたいのは、すでに仕事を続けてもらうことが難しいと感じていたスタッフが、誰かを傷つけることなく退職できる理由ができるということです。

経営者としては、そんなふうに感じてしまうこともあります。

でも、今回のスタッフはまったく逆でした。

「この人には長く働いてほしい」

と思っていた、本当に仕事のできるスタッフです。

だから、同じ「妊娠による退職」でも、経営者として感じることはまったく違いました。

小さな店では、一人の退職が大きな問題になる

私のような小規模な店の場合、スタッフが一人辞めるだけでも、かなり大きな影響が出ます。

現在、店のオーナーは私のパートナーです。

彼女も朝から夜まで働いていて、正直、店で一番働いているのは彼女だと思います。

そしてスタッフが4人います。

つまり、パートナー1人とスタッフ4人。

合計5人で店を回しています。

ただし、毎日5人全員が出勤しているわけではありません。

実際には、そのうち3人が出勤して店を回しています。

だから一人辞めるだけで、店全体への影響がかなり大きくなります。

もちろん、

「じゃあ今後は二人で三人分働いてください。給料は今までと同じです」

と伝えて、それで店が回るなら、経営者としてはどれほど楽でしょうか。

でも、そんな都合のいい話はありません。

残ったスタッフに突然仕事を増やして、そのまま同じ給料で働いてもらうなんて、現実的ではありません。

だからこそ、小さな飲食店にとってスタッフの退職は大きな問題になります。

長く働いてくれるスタッフは本当にありがたい

だから、小さな店を経営している私にとって、「長く働いてくれる」ということ自体が本当にありがたいことです。

現在、一番長く働いてくれているスタッフは、もう3年になります。

3年ですよ。

これは本当にありがたい。

仕事にも慣れていますし、店のこともよく分かっています。

私が一から説明しなくても、自分で考えて動いてくれます。

こういうスタッフが一人いてくれるだけで、小さな店は本当に違います。

だから、長く働いてくれているスタッフには、本当に感謝しています。

これからもよろしくお願いします。

日本とフィリピンでは仕事と家族に対する考え方が違う

日本でも、妊娠や出産を理由に仕事を辞めたり、その後復職したりすることはあります。

ただ、フィリピンで暮らしていると、日本とは仕事や家族に対する考え方がかなり違うと感じることがあります。

日本では、どうしても「まず仕事」という考え方が強いように感じます。

仕事を優先し、その中で家庭や自分の生活を調整していく。

一方、フィリピンでは、やはり家族が一番です。

家族に何かあれば、仕事より家族を優先する。

私もフィリピンに来たばかりの頃は、

「仕事はどうするの?」

と思うことがありました。

でも、よく考えてみれば、それはその人にとって当然なんですよね。

家族のほうが仕事より大切なのですから。

問題は、私のような小さな店です。

スタッフが家族を優先することは理解できます。

しかし、一人が辞めれば店は回らなくなる。

また新しい人を探して、残ったスタッフと一緒に一から仕事を教えなければいけません。

つまり、スタッフの人生や家族を尊重しながら、同時に店も回していかなければならない。

このバランスを取ることが、フィリピンで小さな店を経営する難しさの一つだと思っています。

フィリピンで小さな店を経営するということ

だからといって、

「フィリピンで経営するのは大変だから、やめたほうがいい」

という話ではありません。

こういうことも含めて、スタッフの生活や家族のことを考えながら、それでも店を回していく。

それが、フィリピンで小さな店を経営するということなのだと思います。

今回退職する彼女には、とにかく、

「お疲れ様でした。本当にありがとう」

と伝えたいです。

まずは元気な赤ちゃんを産んで、赤ちゃんと旦那さんに100%、時間と気持ちを使ってほしい。

そして、もし将来、

「またこの店で働きたいな」

と思うことがあったら、いつでも私かパートナーに連絡してくれれば嬉しいです。

そのときは、また一緒に働けたらいいなと思っています。

私が感じた、女性スタッフと男性スタッフの違い

これはあくまで、私がこれまで一緒に働いてきたスタッフを見て感じた個人的な印象です。

うちの店では、男性スタッフより女性スタッフのほうが、仕事をよくやってくれることが多いんですよね。

もちろん、すべての男性・女性に当てはまる話ではありません。

ただ、仕事を覚えるのが早かったり、周りを見ながら動いてくれたり、細かいところまで気づいてくれたり。

「この人がいてくれると助かるな」

と思うスタッフは、なぜか女性が多かったです。

だから今回退職する彼女も、私にとってはかなり貴重な人材でした。

一方で、女性スタッフの場合は、今回のように結婚や妊娠、家族の事情によって生活が大きく変わることもあります。

経営する側としては、そういった事情も含めて考えなければいけません。

「優秀だから、ずっと働いてください」

と簡単に言えるものでもないんですよね。

最後はみんなでお別れ会

今回、私が最後に嬉しかったのは、みんなでお別れ会をしたことです。

その日はお店を閉めたあと、みんなで美味しいものを食べて、お酒を飲みながら、彼女のお別れパーティーをしました。

やっぱり、スタッフ同士の仲がいいというのは、一番いいですよね。

みんなが「ありがとう」とか「頑張ってね」と言いながら涙を流しているのを見て、

「ああ、いいスタッフたちに恵まれたな」

と、私も嬉しくなりました。

もちろん、彼女が辞めるのは残念です。

また新しい人を探して、また一から仕事を教えなければいけません。

正直、大変です。

それでも、最後にこうやってみんなで笑って送り出せたことは、本当に良かったと思います。

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