フィリピンで店舗やビジネスを運営していると、日本ではあまり経験しないような問題に直面することがあります。
その一つが、ルールやマナーが明確に存在していても、それが必ずしも現場で継続的に守られるとは限らないという点です。
私自身、イロイロ州サンタバーバラで店舗を運営する中で、店舗前のスペースに関する違法駐車の問題に長期間直面しました。
報告や注意を行ってもすぐに改善されず、日常的に小さなストレスが積み重なっていく状況が続きました。
実例:店舗前の違法駐車問題(イロイロ・サンタバーバラ)

2022年から2026年にかけて、イロイロ州サンタバーバラにある私の店舗前で、継続的に違法駐車の問題が発生しました。
当初は同じビル内の他テナントによる駐車でしたが、次第にビルとは全く関係のないインド系の金貸し業者まで利用者など自由に駐車する状態になっていきました。
その結果、本来の店舗利用者以外の車両が常態的に店舗前に停まる状況となりました。
私が行った対応
私はこの問題に対して、感情的に対応するのではなく、正式なルートで改善を依頼しました。
具体的には、
- ビルオーナーへの報告
- 状況の写真共有
- メッセージでの継続的な相談
などを行いました。
オーナー側からはその都度「Noted」という返信があり、口頭で注意は行われたようでした。
しかし、実際の改善は一時的なものにとどまり、すぐに違法駐車は再発しました。
実害について
この違法駐車の問題は、売上に直接的な影響を与えたわけではありません。
しかし、日常的なストレスと運営上の負担という点で、非常に大きな影響がありました。
まず、店舗前には一応駐車スペース自体は存在しており、お客様が駐車できないという状況ではありませんでした。
しかし実際には、他テナントやビルと無関係な人物がそのスペースを無断で使用することで、私自身のバイクを適切に駐車できない状況が発生していました。
そのため、店舗前のスペースが「常に誰かに使われている状態」になり、日常的に不便さを感じる状況でした。
また、違法駐車を目にするたびにビルオーナーへ連絡を取っていましたが、その対応の積み重ねが精神的な負担になっていきました。
さらに、この問題についてパートナーとの間でも認識の違いがあり、私が対応を続ける中でストレスを感じる場面が多くありました。
私は違法駐車をしている人たちを一斉に排除したいですし、直接的に注意もしたい。
なんなら駐車場を有料にして、一人ひとり駐車に対する対価を要求しようと考えたりもしました。
ですが、私のパートナーはことを荒立てたくないようでした。
できるだけ穏便にしたい、だから注意をするな、お金をとるな、というのです。
私は家賃を支払い、正式にその場所を借りている立場ですが、実際には無断で利用する人々がそのスペースを占有している状態でした。
そのため、「ルールを守っている側ほど負担が増える」という感覚を強く持つようになりました。
結果として、金銭的な損失以上に、日々の小さなストレスと積み重なる心理的負担が最も大きな実害だったと言えます。
ルールが守られにくいと感じる背景
現地でビジネスをしている中で、ルールが徹底されにくい背景にはいくつかの要因があると感じました。
まず、生活環境の違いから、ルールやマナーよりも「その場をどう回すか」が優先される場面が多い印象があります。
結果として、明確なルールがあっても軽視されることがあります。
また、トラブルを避けることを優先する傾向が強く、注意や強制的な対応を行うことで関係性が悪化することを避けようとする場面も見られます。
そのため、問題があっても強く是正されにくい構造があります。
さらに、注意をした場合に感情的な反応が返ってくる可能性を懸念し、結果として関係者側が強い対応を取りにくいという側面もあります。
このような要因が重なり、ルール違反があっても実質的に放置される状況が生まれていると感じました。
オーナー対応の背景について
オーナーの対応については、必ずしも無関心というよりも、優先順位やコスト判断の問題があるように感じました。
私はテナント収入の中でも一定の割合を支払っているため、本来であれば重要なテナントであると考えています。
しかし、それでも違法駐車のような問題は、日常業務の中では優先順位が低く扱われている可能性があります。
また、オーナーが常に現地にいるわけではなく、日常的には現場の細かな状況を直接確認できないため、問題の緊急性が十分に共有されていない可能性もあります。
結果として、報告は受けても即座に継続的な対策までつながらず、「注意はするが根本解決には至らない」という状態が続いていると感じました。
文化的な違いとして感じた点
日本であれば、今回のような違法駐車が継続的に発生した場合、管理側が比較的早い段階で強制的な対応を行うケースが多いと考えられます。
場合によっては警告や契約上の措置に発展することもあります。
一方でフィリピンでは、問題が発生しても「人間関係の維持」や「現場の混乱を避けること」が優先される傾向があり、結果として対応が穏やかになる場面が多いと感じました。
そのため、ルールそのものは存在していても、それがどの程度実際に運用されるかは状況によって大きく差があるように感じます。
また、公的なルールよりも、その場の関係性や実務上の都合が優先される場面があり、結果としてルールの一貫性が弱くなることがあります。
その結果、ルールを守る人が損をするのです。
これで私が直接注意をしようものなら「あの日本人は融通が利かない・私たちをバカにしている」となるのです。
結論として感じたこと
今回の経験を通じて感じたのは、フィリピンではルールそのものよりも、現場の状況や短期的な優先順位が重視される場面があるということです。
その結果として、ルール違反があってもすぐに是正されないケースが発生しやすく、運営側の対応力や仕組みによって大きく結果が変わると感じました。
この問題は単なる個人の意識の問題というよりも、仕組みや管理体制の設計に依存している部分が大きいと考えています。
そのため、同様の環境でビジネスを行う場合は、「ルールを守ることを前提にする」のではなく、「ルールが守られない前提で仕組みを作る必要がある」と感じました。
問題が解決したきっかけ
その後、状況は予想外の形で大きく変わりました。
オーナーの娘が店舗の隣で小規模な飲食店を始めることになり、それに伴い、これまで違法駐車が行われていたスペースの一部が、店舗の客席として利用されることになりました。
そのタイミングで大きな駐車禁止の標識が設置され、あわせて関係者への周知も徹底されました。
その結果、それまで常態化していた違法駐車は一気になくなり、状況は短期間で大きく改善しました。
これまで長期間改善されなかった問題が、利用目的が明確に変わったことで一気に解消された形です。
この経験から、ルールの有無そのものよりも、「その場所が誰の利益に直結しているか」によって、実際の運用が大きく変わることを強く実感しました。
この国の人たちの国民性が見えた体験となりました。


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