フィリピン小規模飲食店でスタッフ3名が妊娠を機に退職した現実|現場が抱える人材・採用・運営コストの問題

フィリピンでビジネス|スタッフ管理

はじめに

フィリピンで小規模な飲食店を運営していると、売上や集客以上に重くのしかかるのが「人材の変動」です。

これまで私の店舗では、3名のスタッフが妊娠をきっかけに退職しました。

本記事では、その経験をもとに、フィリピンの小規模飲食店が直面する現場の課題について整理します。

すべてのスタッフが“オールラウンダー”である前提

私の店舗は小規模であるため、スタッフは役割を分けていません。

  • 注文取り
  • 料理提供
  • 仕込み
  • 清掃
  • 洗い物

これらすべてを一人ひとりが担当します。

あえて役割を固定しない理由はシンプルで、「これは自分の仕事ではない」という逃げ道をなくすためです。

結果として、誰かが欠けても最低限の業務は回る構造にはなっています。

ただしそれでも、人が抜ける影響は小さくありません。

退職したスタッフの勤務実態

妊娠を機に退職した3名のスタッフは、いずれも以下のような勤務形態でした。

  • 週5日勤務
  • 10時〜19時のフルシフト
  • ランチピークとディナーピークの両方に対応

つまり、店舗運営の「中心戦力」として現場を支えていたスタッフです。

そのため、1人抜けるだけでも現場の負荷は大きく変わります。

妊娠退職の実際のケース(現場で起きた3つのパターン)

今回の3件の退職は、同じ「妊娠をきっかけとした離職」でも、その経緯や状況は大きく異なっていました。

飲食店においては、同じライフイベントでも対応や影響がまったく異なることが分かります。

ケースA:妊娠への強い希望があったケース(若年スタッフ)

20歳のスタッフで、勤務前から「彼氏がまじめになると思うから将来的に妊娠したい」という希望を持っていました。

妊娠後は体調面や生活環境の変化により勤務継続が難しくなり、「彼が仕事を休めとい言ったから休む」などという理由で欠勤が続いた結果、最終的には退職となりました。

その後、再就職の意思を伝える連絡もありましたが、職場としては再雇用には至りませんでした。

ケースB:妊娠と就労意欲のバランスが難しかったケース(中堅スタッフ)

28歳のスタッフで、妊娠後も可能な限り勤務を継続しようとする姿勢はありました。

一方で、体調や家庭環境の変化を理由に業務制限が増え、他スタッフとの役割分担に負担が偏る状況が発生しました。

「私は妊娠しているからこれはできない」

という発言が増えて、ほかのスタッフとの軋轢も濃くなっていきました。

結果として、現場内で業務バランスの調整が難しくなり、退職に至りました。

ケースC:突然の妊娠と生活不安が重なったケース(若手スタッフ)

22歳のスタッフで、勤務態度は安定しており、仕事ぶりも良好でした。

本人としても働き続けたい意志はあったものの、出産を控えて仕事が困難になり退職という判断になりました。

出産後は育児があるため、職場復帰の見込みはまだありません。

この3つのケースから見えた共通点

3人のケースはすべて異なりますが、共通している点もあります。

  • 妊娠そのものではなく「出産後の生活環境の不安定さ」が離職要因になる
  • 本人の意思だけでは継続できない場合がある
  • 小規模店舗では1人の変化が現場全体に影響する

つまり、飲食店側にとって重要なのは「個人の事情をどう評価するか」ではなく、
どのような変化が起きても運営が止まらない設計になっているかどうかです。

人が抜けることで発生する“見えにくいコスト”

スタッフが退職すると、単純に人手が減るだけではありません。

実際には、以下のような見えにくいコストが発生します。

  • シフト再編のためのスケジュール調整
  • 新規スタッフ募集・求人作成
  • 応募者の選定と面接対応
  • 書類確認と初期選考
  • 試用期間中の教育・管理

これらはすべて、営業と並行して発生します。

つまり「人がいない間の業務負担」と「採用活動の負担」が同時に発生する状態です。

結果として、売上が多少維持できていたとしても、現場の消耗は確実に蓄積していきます。

採用活動で感じた課題と運用ルールの統一

採用については、できるだけ効率化するために応募フローを統一しています。

現在は以下のような形です:

  • 「履歴書を送付してください」と明記
  • 書類選考を通過した人のみ返信
  • 基本条件(高校卒業、英語での基本コミュニケーションなど)を明示

その理由は、応募段階で必要情報が揃っていないケースが一定数あるためです。

例えば、求人内容に「履歴書送付」と書いているにもかかわらず、コメント欄で「興味があります」というような、返信をしてくる人もいます。

この場合、業務上必要な情報整理や指示の理解度が十分でない可能性が非常に高いため、基本的にスルーします。

そのため現在は、「条件を満たした応募のみを選考対象とする」という形に統一しています。

人が辞めることを前提にした店舗運営へ

今回の経験を通じて強く感じたのは、「人が辞めない前提の店舗設計は成立しない」ということです。

特に小規模飲食店では、1人の退職がそのまま現場の構造に影響します。

そのため必要なのは、以下のような設計です:

  • オールラウンダー型の育成
  • 業務の標準化と共有
  • 採用プロセスのテンプレート化
  • 教育負荷を前提とした人員設計

つまり、「人に依存する店」から「仕組みで回る店」への転換です。

まとめ

二十台~三十台の女性スタッフを雇用しているために、彼女たちの妊娠からの退職という流れは常に経営者は意識をしなければなりません。

  • 現場は常に複数業務で成り立っている
  • 採用と教育には見えないコストがある
  • 小規模店舗ほど仕組み化が重要になる

現在も改善の途中ですが、この経験は店舗運営を見直す大きな転機になっています。

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