フィリピンで小規模飲食店を経営したい人向けの記事です。
前回は物件探しについて、今回は初期費用について話していきます。
前回の記事はこちら
フィリピンでは大家にとって有利な条件が多い
基本的には大家さんにとって有利な法律だらけです。
借りる人が有利になる条件などないと思ったほうがいいでしょう。
デポジット
まずはこのデポジットルール。
家賃とは別に預けておくお金で、退去時に修繕費に使ったり、家賃未払い時に消化されていくお金になります。
基本は家賃の1~2か月分支払います。
モールでは3か月分要求するところも少なくありません。
アドバンス
これは家賃の先払いです。
例えば、4月1日からスペースを借りるのならば、ひと月前の3月1日には入金が終わっていないといけません。
なので、初期費用時には当月分+翌月分の家賃を支払う必要があるわけです。
よくあるパターン、2Month deposit, 1 month advance の場合、
家賃が20000ペソなら、
デポジットで20000*2=40000ペソ
アドバンスで20000*1=20000ペソ
当月分として20000*1=20000ペソ
合計80000ペソの支払いをしなければなりません。
この80000ペソのお金は契約時に支払います。
このお金を支払ってから、やっと内装・外装工事を行うことができます。
フィリピンの家賃は1年おきに数パーセント上がる
最初にフィリピンは大家に有利な国だと伝えた通りなのですが、大家には家賃を上げる権利があります。
まずはこれをどうぞ。
The legal limit for rent increases in the Philippines varies depending on the monthly rent and whether the unit is covered by the Rent Control Act:
- Rent Control Act: For units with a monthly rent within a specific range, the Rent Control Act limits the annual rent increase to 7%. This limit applies to units occupied by the same tenant. For new tenants or vacant units, landlords can set a new rental rate without the 7% limit.
- Properties below PHP 5,000: The maximum annual rent increase is 2%.
- Properties between PHP 5,000 and PHP 8,999: The maximum annual rent increase is 7%.
- Properties between PHP 9,000 and PHP 10,000: The maximum annual rent increase is 11%.
- Properties above PHP 25,000: There is no statutory cap on rent increases, but it’s common for parties to limit increases to 5% to 10% annually.
一番下に25000ペソ以上の家賃のところは5~10パーセント上がると書いてありますが、モールはほぼ10パーセントだと思ってください。
例えば、家賃が20000ペソの物件を5年間借りたとします。
すると
1年目 20000ペソ
2年目 20000*1.10=22000ペソ
3年目 20000*1.20=24000ペソ
4年目 20000*1.40=26000ペソ
5年目 20000*1.60=28000ペソ
このように、わずか5年で家賃が1.4倍になるわけです。
ショッピングモールに出店している人たちがなぜ数年で撤退するかと言うと、理由はたくさんありますが、まずはこの家賃アップに耐えられないからです。
飲食でこれを当てはめて考えると、一年おきに前年比10パーセント以上の平均売り上げアップをしなければクリアできないハードルです。
普通に考えてとんでもなくむずかしい課題です。
私のお店の契約書はスペースを借りた1年後に家賃アップは5~10パーセントの範囲で大家が決めることができる、と記載されてあります。
これらの条件について合意できるようなら、サインをし、貸す側、借りる側双方が一部ずつ保有します。
ビジネスの書類は全てRhaneさん名義ですが、アパートの契約、住居の契約は私の名義です。
借りる側ができること
こんな難しい状況で借りる側ができることは何もないかと言うと、そうでもありません。
私が実践していることを紹介します。
あくまでも個人契約でのビルディングの話ですので、モールでは使えません。
①家賃を前払いで支払う
私は今のサンタバーバラの大家さんに6か月分の家賃をいつも前払いしています。
しかも現金です。
大家さんといえど、土地代、ビル建設代など、支払いが終わっていないことがたくさんあるわけですから、お金が欲しいわけです。
「私はお金に困っていませんよ、逃げませんよ」
というアピールを行うことで、家賃アップを免れています。
②店の売上をつくる
市ではなく町の中にある私の店ですが、どうにか毎日ある程度の賑わいを見せており、地域の中でもかなりの有名店になってきました。
たくさんの人が訪れることは大家さんにとっても信用を得られる条件の一つになります。
③いい関係をつくる
Rhaneさんは大家さんの夫妻と話すのが好きで、彼らもRhaneさんと話すのが好きです。
電気代を支払うときには話をする、
私が旅行から帰ってきたときなどは必ずお土産をわたす
など、普段からいい関係性を作っておくことで、大家からの家賃アップの提案はされない状況を維持しています。
④スペースとともに住居を借りる
私は店を借りるときに一緒に住居も借りました。
大家さんにとってはダブルでお金が得られるのでおいしい話です。
実は部屋とスペースを借りるときに「両方借りるからディスカウントして!!」とお願いし、毎月の家賃を1000ペソディスカウントしてもらいました。
小さい金額のように思えますが、私にとってはそうでもありません。
1年間でセーブできるお金は
住居・・・1000ペソ*12=12000ペソ
スペース家賃アップ・・・18000ペソ*0.1*12=21600
合計・・・33600ペソ、(88000円)
こんな感じで私にとってはそこそこ大きいお金の支出を抑えているのです。
家賃アップは毎年、年間21600ペソのアップですから、かなりの支出をおさえられていると思います。
やはり、いい関係を作っていくのは必須です。